早漏とは性行為において挿入後、あるいは挿入前に射精してしまい、性的満足が得られない状態を指します。挿入後、1分以内に射精する場合が多いです。
早漏の定義と原因
- 発生率:早漏の発生率は、男性全体の約20-30%と報告され、この割合は、年齢や文化的背景、調査方法により異なることがあります。
一部の研究では、男性の30-40%が生涯のある時点で早漏を経験するとされます。 - 年齢との関連:若年層(特に10代後半から20代前半)では、性的経験が少ないため早漏のリスクが高いとされています。一方、中高年層でもストレスや健康問題により早漏が生じることがあります。
- 心理的・社会的要因:ストレス、不安、緊張、うつ状態などの心理的要因が早漏の発生に寄与することが多いです。またパートナーとのコミュニケーション不足や関係問題が影響する場合もあります 。
- 健康状態との関連:他の健康問題(例えば糖尿病や膀胱、前立腺疾患など)が早漏のリスクを高めることがあります。
- 地域差・文化差:文化的背景や地域による違いがあり、特定の文化や地域では早漏がタブー視され、報告率が低くなることがあります。
参照文献
American Urological Association
Journal of Sexual Medicine
Mayo Clinic
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases
American Urological Association
Journal of Sexual Medicine
Mayo Clinic
National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases
早漏と対策
PDE5阻害薬
当院ではまずED治療薬をお使いになっていただき、経過をみる治療をします。
PDE5阻害薬は、勃起の改善とともに早漏を防ぐ効果が期待されます。陰茎、亀頭部の勃起状態が弱いと刺激に反応しやすくなることから、
下記のED治療薬で勃起状態をしっかりと維持することで、早漏傾向の改善はかなり期待できます。
- シルデナフィル(バイアグラ)
- タダラフィル(シアリス)
- バルデナフィル(レビトラ)
シロドシン(ユリーフ®:前立腺肥大・排尿障害の治療薬)
日本では未承認で適応外使用になります。
副作用の逆行性射精と精嚢・精管の収縮障害作用を逆に利用し、早漏改善に使われる場合もあります。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
日本では未承認で適応外使用になります。
SSRIは基本的に抗うつ薬として使用されますが、早漏治療にも有効とされ、米国では承認されています。セロトニンのレベルを上げることで、射精のコントロールを改善します。代表的な薬には以下のものがあります:
ダポキセチン(Dapoxetine):唯一、早漏治療のために特別に開発されたSSRI。性行為の1~3時間前に服用することで効果を発揮します。
局所麻酔薬
日本では未承認で適応外使用になります。
局所麻酔薬は、ペニスの感度を鈍くすることで早漏を防ぎます。使用方法は、性行為の前にペニスに塗布し、しばらくしてから洗い流します。一方、キシロカイン(リドカイン)ショック、アナフィラキシーもありますので、ご本人のみならずパートナーも同様に、注意が必要。
- リドカインスプレー:リドカインを含むスプレーで、性行為の前にペニスにスプレーします。
- プリロカインクリーム:リドカインと組み合わせたクリームで、性行為前に塗布します。
トラマドール
日本では未承認で適応外使用になります。
トラマドールは、通常は鎮痛薬として使用されますが、セロトニンとノルエピネフリンの再取り込みを阻害することで、早漏を防ぐ効果があります。ただし、副作用があるため医師の指導の下で使用する必要があります。
補助療法
薬物療法に加えて、心理療法・行動療法・骨盤底筋トレーニング、最近はテンガ®による早漏トレーニングキット等もあります。