今話題のVIGOR2020(陰圧式勃起改善補助器具)についてお話します。順天堂大浦安病院の泌尿器科教授、辻村教授教室(白井准教授)が国際泌尿器科学会誌に投稿、掲載されました(24年8月)。私(共著です)も前職クリニック在職中、この試験に参加、症例数をご提供しました。以下、簡単に和訳しましたので、ご一読ください。2020年以降、ED治療はED薬以外に、VIGOR2020、低衝撃波モアノバ、再生医療とこの5年で治療選択肢が広がりました。この領域にかかわる医師として、いままで諦めていた患者さんにも何らかの治療方法を提供できるようになり、非常に良い時代に入ってきたと実感しています。
目的: 陰圧式勃起改善補助具(以下VED)は、勃起不全(ED)の治療ガイドラインで推奨される第二選択治療ツールですが、長い間日本では利用できませんでした。新しいVEDであるVigor 2020®(A & HB Company Limited、東京、日本)が製造され、医薬品医療機器総合機構から医療承認を受けました。我々は、Vigor 2020を臨床で使用したED患者を対象に、後ろ向き観察研究を実施しました。
方法: 外来でVigor 2020を使用した20歳以上の男性ED患者を分析しました。主要評価項目は、勃起硬度スコア(EHS)で1点以上の改善が見られるかどうかとしました。副次評価項目は、国際勃起機能指数(IIEF)および射精機能評価のための男性性機能質問票(MSHQ-EjD)を用いて、性機能の改善および有害事象の評価を行いました。
結果: 33人の患者(平均年齢57.21歳[27~86歳])がVigor 2020使用前後で評価されました。基準EHSが2以下の16人の患者のうち、14人(93.33%)が1点以上改善し、16人中10人(62.50%)がEHS3以上に改善し、膣内挿入が可能となりました。IIEF総スコアおよびEHS3以上に改善した患者におけるMSHQ-EjDの有意な改善が見られました。有意な有害事象を経験した患者はいませんでした。
結論: Vigor 2020は、EDの有効な治療ツールである可能性があります。重度のED患者は、勃起の有意な改善だけでなく、射精機能の改善も経験しました。