ED再生医療、モアノバの衝撃波⇒波動治療?

銀座/有楽町のED/AGA/再生医療、グリアメンズクリニック東京の院長加藤です。

衝撃波とは、音速を超えて伝わる圧力波のことで、陰茎の皮膚の上から照射することで陰茎深動脈さらにその枝葉の毛細血管内膜からVEGFと呼ばれる血管内皮細胞増殖因子を分泌促進させ、陰茎内の新生血管を促す。ED薬が最近効かないという方や循環器系の疾患でED薬服用ができない方などにまさに福音治療。腎結石破砕用のエネルギーの約1/10の低エネルギーを照射することで陰茎の血液循環が圧倒的に改善されていく。照射数は5回照射が標準的。衝撃波と聞いて、「痛い施術?」と思われる方もいるが、まったく痛みなし(自分も経験)と言い切れる。施術時間は約20分。ご興味あればぜひご連絡いただきたい。

AGAにおける幹細胞培養上清液(エクソソーム)の自験例(院長自らの!)

Konstantinos Anastassakis著の「Androgenic Alopecia From A to Z」という出版物がある。これは日本語にすると「AGAのいろは」に相当すると思う。2022年出版なので、これまでのAGA治療の原因から治療までの総まとめ的にした成書といえる。

さて、この著書にAGA治療における幹細胞上清液(エクソソーム)の将来を予見する記載がある。「「幹細胞由来のエクソソームには、成長因子、サイトカイン、micRNA(マイクロRNA)、その他の生理活性分子が含まれており、これらが毛包(毛根の周りの構造)の再生を促進することが示されている。(中略)エクソソームは毛包に存在する毛髪の幹細胞を活性化し、毛髪のヘアサイクルを改善する役割を果たしていることが示唆され、幹細胞上清液(エクソソーム)が毛髪の再生能力や成長サイクルを改善させるエビデンスが整い、AGA患者の外見的および心理的な満足度が向上すると思われる・・・(加藤訳)」とし、幹細胞上清液(エクソソーム)におけるAGA単独治療、薬物治療との併用等、新たな治療モデルが期待できるとし、2022年時点で次世代AGA治療をしっかりと見据えている。 下記は自験例で(添付の写真は、院長の加藤の症例写真)、チャンピョンデータではありません。ご覧のようにAGAの標準薬物治療でも改善は顕著であるが、問題は男性機能の低下に加え、経済的負担(1年間にすると約25万円)、さらに服薬中止で、AGA悪夢の再来となり、治療にゴールを見いだせないストレスがある。そこで私自身もエクソソームを計4回受けた(メソガンによるメソセラピー)。結果写真が下記の通り。この間、標準治療のAGA薬は服薬していない。ゆえに費用対効果、時間対効果、副作用対効果の様々な切り口でも、エクソソームのAGA治療に軍配を上げたいと思う次第である。

参照資料:Vol. 2 Drugs, Herbs, Nutrition and Supplements(2022)Springer International publisher)

ED改善医療機器モアノバ(もともとは…)

ED薬は、陰茎を走るに2本の陰茎深動脈を選択的に拡張する共通の薬理作用があるが、モアノバは直接陰茎脚と陰茎両側面に衝撃波(計1800発)照射することで海綿体内の新生血管形成を促す革命的医療機器。世界では70万人以上がすでに恩恵を受けている。有効率は概ね82%前後、年齢や基礎疾患の有無等で多少上下するが、ED薬の併用も可能で男性にとって福音であろう。元をたどると武器だったらしい!例えば、衝撃波で離着陸する飛行機周辺の鳥の被害を少なくするために軍事目的で開発されたとも聞く。最終的にこれが医療用に転換され、最初に腎結石破壊用として体外からの照射で臨床応用。整形外科領域でもテニス・ゴルフ肘、足底腱膜炎、さらに循環器領域では狭心症・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症にも応用されている。

包皮からAGA治療!?

24年8月に発表されたAGAのエクソソーム新治療(トルコから)は非常にユニーク。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39174804

この論文は今年8月に発表された最新論文。私の推測であるが、イスラム、ユダヤ教圏では男児に割礼を実施するが、(恐らく割礼時の)新生児の包皮から採取&培養した幹細胞上清液エクソソームを頭皮に注入(論文から以下抜粋:本研究では、Yeditepe大学/トルコ生物工学研究所でSomuncuらによって採取された新生児の包皮組織から得られた人間の包皮幹細胞)し、AGA治療に効果あったとされる臨床論文。この包皮由来幹細胞上清液のエクソソームをワンショット投与され、投与後各4週、12週(3ヶ月目)で効果が出ていることを示している(写真参照)。エクソソームの由来は骨髄、歯髄、脂肪、臍帯がメインであるが今後、包皮由来とされるものが登場することになる。 AGAの薬物治療は時代遅れになる、まさにパラダイムシフトの可能性大であろう。

円形脱毛症に幹細胞培養上清液(エクソソーム)による治療の可能性

昨年23年11月に発表された論文は、円形脱毛症で悩む方には朗報かもしれない。この研究では円形脱毛症モデルマウス(AAマウス)に臍帯由来のエクソソームを使用。今後、日本でも円形脱毛症への治療戦略の一つにエクソソームの妥当性が示唆された。Cell Biol Int. 2024 Feb;48(2):154-161. doi: 10.1002/cbin.12099. Epub 2023 Nov 3

「円形脱毛症(Alopecia Areata, AA)は、毛包に対する自己免疫反応によって引き起こされる脱毛症であり、複雑な疾患。この治療選択に、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cells, MSCs)は、毛髪再生を誘導する大きな可能性を持っている。最近の研究では、MSCsの治療効果は、分泌能力に由来することが明らかになっており、大量の生物活性物質を産生し、対象エリアにおける生理機能を調整、抗炎症作用も示唆されている。MSCが分泌する生成物には、小胞、エクソソームなどが含まれ、幹細胞由来の生物製剤には多くのベネフィットがある。uMSCsはヒト臍帯から得られ、臍帯は入手が容易であり、骨髄や脂肪組織からMSCを得るよりも分離・培養の効率が高い。本研究では、AAマウスにおけるuMSCから放出されたエクソソームの効果を検証した・・・。」

以上、エクソソームがAGAのみならず円形脱毛症治療のオプションになると可能がある。実際、私の周囲でも男女問わず円形脱毛症の方が、エクソソーム治療を開始して見事に回復していることの事実を経験している。

ジェネリックとは?

先発品は日本では8年間(薬機法)の特許期間(パテント)があり、この間、独占的に製造販売ができる。いわゆるこのパテント期間が終了すれば、後発品(ジェネリック)の製造販売が可能となる。後発品も有効性&安全性の臨床試験を実施して規制当局に承認されるので、先発品となんら遜色ないが、EDやAGA薬での問題は、模造品や個人輸入品など、たくさん出回っている。

実際、当院でも海外製バイアグラを相当数の方が使われて来院される。用量も不透明で、特に品質・安全性に関しては文字通りブラックボックス。どうかこの点はリスクとして認識していただけると幸甚。

陰圧式勃起改善補助器具って?(HPにも動画ありますのでご参照

今話題のVIGOR2020(陰圧式勃起改善補助器具)についてお話します。順天堂大浦安病院の泌尿器科教授、辻村教授教室(白井准教授)が国際泌尿器科学会誌に投稿、掲載されました(24年8月)。私(共著です)も前職クリニック在職中、この試験に参加、症例数をご提供しました。以下、簡単に和訳しましたので、ご一読ください。2020年以降、ED治療はED薬以外に、VIGOR2020、低衝撃波モアノバ、再生医療とこの5年で治療選択肢が広がりました。この領域にかかわる医師として、いままで諦めていた患者さんにも何らかの治療方法を提供できるようになり、非常に良い時代に入ってきたと実感しています。

目的: 陰圧式勃起改善補助具(以下VED)は、勃起不全(ED)の治療ガイドラインで推奨される第二選択治療ツールですが、長い間日本では利用できませんでした。新しいVEDであるVigor 2020®(A & HB Company Limited、東京、日本)が製造され、医薬品医療機器総合機構から医療承認を受けました。我々は、Vigor 2020を臨床で使用したED患者を対象に、後ろ向き観察研究を実施しました。

方法: 外来でVigor 2020を使用した20歳以上の男性ED患者を分析しました。主要評価項目は、勃起硬度スコア(EHS)で1点以上の改善が見られるかどうかとしました。副次評価項目は、国際勃起機能指数(IIEF)および射精機能評価のための男性性機能質問票(MSHQ-EjD)を用いて、性機能の改善および有害事象の評価を行いました。

結果: 33人の患者(平均年齢57.21歳[27~86歳])がVigor 2020使用前後で評価されました。基準EHSが2以下の16人の患者のうち、14人(93.33%)が1点以上改善し、16人中10人(62.50%)がEHS3以上に改善し、膣内挿入が可能となりました。IIEF総スコアおよびEHS3以上に改善した患者におけるMSHQ-EjDの有意な改善が見られました。有意な有害事象を経験した患者はいませんでした。

結論: Vigor 2020は、EDの有効な治療ツールである可能性があります。重度のED患者は、勃起の有意な改善だけでなく、射精機能の改善も経験しました。

愛用される薬とは?

早いものでバイアグラ(シルデナフィル)が日本で承認(1999年)され、四半世紀が経つ。日本のみならず世界でいまだにつかわれている「ゴールドスタンダード」のED改善薬である。バイアグラの承認からちょうど100年前、鎮痛解熱剤のアスピリンも1899年にドイツのバイエル社が製造開始。これも約120年以上世界で使われており、今後も「バファリン」として一家に一剤として愛用されていくことであろう。良い薬という定義は、有効性だけでなく、やはりなんといっても安全性、安心感。