髪が抜ける抜け毛の原因5つと治療方法【医師監修】
髪の毛が抜けることへの不安は、多くの方が経験する深刻な悩みです。
特に30代以降の男性にとって、抜け毛の進行は大きな心配の種となっています。この記事では、抜け毛の原因から最新の治療法まで、医学的な見地から詳しく解説していきます。
髪が抜ける5つの主な原因
髪が抜ける原因は主に5つあります。
・男性型脱毛症(AGA)の影響
・ストレスによるホルモンバランスの乱れ
・頭皮環境の悪化と炎症
・栄養バランスの偏り
・過度なヘアケアによる負担
順番に解説していきます。
男性型脱毛症(AGA)の影響
男性型脱毛症は、遺伝的な要因と男性ホルモンの働きが組み合わさって発症します。
頭皮の毛根が男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)に敏感に反応し、次第に髪が細くなっていきます。DHTは 5αリダクターゼという酵素(I型とII型がある)がテストステロンに作用し生成されます。これらの症状は20代後半から始まることも多く、早期発見と適切な治療が重要です。AGAの標準治療のポイントはこのDHTの抑制、すなわち5αリダクターゼの酵素の活動を抑制することで、フィナステリド、デユタステリドが確立された内服薬になります。
ストレスによるホルモンバランスの乱れ
現代社会では避けられない精神的ストレスですが、これが継続すると自律神経系に影響を与え、ホルモンバランスを崩す原因となります。
ストレスホルモンの過剰分泌は、髪の成長サイクルを乱し、抜け毛を増加させる要因となっています。
頭皮環境の悪化と炎症
健康な髪の成長には、清潔で活性化された頭皮環境が欠かせません。
過剰な皮脂分泌や細菌の増殖は、頭皮の炎症を引き起こし、毛根の健康を損なう原因となります。この状態が続くと、髪の成長が妨げられ、抜け毛が増加することがあります。
栄養バランスの偏り
髪の毛の主成分であるタンパク質をはじめ、各種ビタミンやミネラルの不足は、健康な髪の維持を困難にします。
特に、偏った食生活や過度なダイエットは、必要な栄養素の摂取を妨げ、抜け毛を促進する要因となります。
過度なヘアケアによる負担
強すぎるシャンプーや頻繁なヘアカラー、パーマなどの化学処理は、頭皮や髪に大きな負担をかけます。
特に、刺激の強い製品の連続使用は、頭皮の健康を損ない、抜け毛を増加させる原因となることがあります。
髪が抜ける症状を改善する4つの専門治療
髪が抜ける症状を改善するための方法として、4つご紹介します。
・内服薬によるホルモンコントロール
・外用薬での局所的なケア
・育毛注入療法による直接アプローチ
・頭皮環境の改善治療
それぞれ見ていきましょう。
内服薬によるホルモンコントロール
AGAの治療では、フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬が効果的です。
これらは男性ホルモンの働きを適切にコントロールすることで、抜け毛の進行を抑制し、既存の髪の毛の成長を促進します。医師による適切な診断と処方が必要となります。
外用薬での局所的なケア
ミノキシジルをはじめとする外用薬は、直接頭皮に作用して血行を改善し、髪の成長を促進します。
内服薬との併用により、より高い効果が期待できます。外用薬は継続的な使用が重要で、効果の実感までには数ヶ月程度かかることがあります。
育毛注入療法による直接アプローチ
より積極的な治療を望む場合、最近は幹細胞上清液(エクソソーム)によって毛髪の再生能力や成長サイクルを改善させるエクソソームなどの抗炎症作用、成長因子を含む有効成分を直接頭皮に注入します。この治療法は、メソセラピー(過去のブログで「つむじ型AGA改善・予防のための完全ガイド」を参照ください。)により毛根部にエクソソーム直接を届けることができ、比較的早期に効果を実感できる可能性があります。
頭皮環境の改善治療
最近は、頭皮環境を整えるための専門的な治療も検討されています。
頭皮クレンジングや、低周波治療、LED照射、プラズマ照射などにより、頭皮の血行を促進し、健康な環境を取り戻すことができると考えられています。
髪が抜ける前に気づく3つの前兆サイン
髪が抜け始めた時にすぐに早期に発見をし、治療を進めることが何より大切です。
・シャンプー時の抜け毛量の変化
・髪のコシや太さの低下
・頭皮の違和感や痒み
それぞれ解説します。
シャンプー時の抜け毛量の変化
通常の抜け毛量は1日50〜100本程度ですが、これを明らかに超える量の抜け毛が続く場合は注意が必要です。特にシャンプー時の抜け毛が急激に増加した場合は、早めの専門医受診をお勧めします。
髪のコシや太さの低下
髪の毛が徐々に細くなり、コシが失われていくのは、AGAの典型的な初期症状です。
髪の毛を指でつまんで確認し、以前と比べて細くなっていると感じた場合は、専門医への相談を検討しましょう。
頭皮の違和感や痒み
頭皮のかゆみや違和感は、頭皮環境の悪化を示すサインかもしれません。
これらの症状が続く場合は、早めの対応が必要です。脂漏性脱毛(皮膚炎)の場合、抗真菌剤が必要になる場合もあり、皮膚科の診察も必要になる場合もあります。
髪が抜ける悩みを解決する4つのクリニック選び
クリニックの選び方について見ていきましょう。
髪が抜け、気になる頻度が増えてきたらなるべく早めに受診することをおすすめします。
専門医の経験と治療実績
信頼できる専門医は、豊富な治療経験と実績を持っています。
過去の治療例や成功事例を確認することで、その医師の専門性を判断できます。
治療プランの多様性
患者の状態や希望に応じて、複数の治療オプションを提案できるクリニックを選びましょう。一つの治療法に固執せず、柔軟な対応ができることが重要です。
カウンセリング体制の充実
初回のカウンセリングでは、現在の状態や生活習慣、治療への期待などを詳しく聞いてくれる医師を選びましょう。丁寧なカウンセリングは、適切な治療計画の立案につながります。
長期的なサポート体制
抜け毛の治療は、長期的な取り組みが必要です。
定期的な経過観察や治療方針の調整など、継続的なサポートが受けられるクリニックを選択することが重要です。
髪が抜ける状態を改善する3つの生活習慣
家でもできる改善方法として、生活習慣を整えることはとても大切です。
それぞれ解説します。
規則正しい睡眠リズムの確立
質の良い睡眠は、髪の成長に欠かせない成長ホルモンの分泌を促進します。
夜10時から深夜2時までの時間帯に十分な睡眠を取ることで、髪の健康維持をサポートできます。
バランスの取れた食事管理
髪の成長には、タンパク質をはじめとする栄養素が必要不可欠です。
偏食を避け、バランスの取れた食事を心がけることで、髪の健康を内側から支えることができます。
ストレス軽減と運動習慣
適度な運動は、ストレス解消と血行促進の両面で効果があります。
自分に合った運動を見つけ、継続的に実践することで、心身の健康を維持できます。
抜け毛の進行を防ぐためには、早期発見と適切な治療が重要です。気になる症状がある場合は、信頼できる専門医に相談することをお勧めします。適切な診断と治療により、多くの場合、症状の改善や進行の抑制が可能です。